日経BP社主催「デジタル時代のCMO養成塾」にて講師

2014年5月21日 日経BP社主催「デジタル時代のCMO養成塾」にて講師を務めました。
タイトルは「CMO、日本になかったタイトル」サマリーは下記の通り

1) ITはわれわれの生活をどう変えたか?そしてその最先端は?

この10数年、eMail、メッセージング、検索、EC、SNS、PC、スマートフォンなどにより、われわれの仕事のやり方、生活は大きく変化した。
そして現在、その進化の一つの象徴がGoogleGlassと言えるのではないか?(動画 1 2 3
また、ECではAmazonを中心にドローンによる配達などのイノベーションが計画されている。(動画 4
さらにはGoogleによるドライバーレスカーが実用に向けて開発が進んでいる(動画 5

2)メディア・シフト=ネット広告市場の発展

IT革命の中でもネット広告の分野は、小職がYahoo Japanの一号社員として入社した1996年以来順調に成長し、USでは5兆円、日本でも1兆円市場となった。メディアシフトの結果であり、東京でもネット視聴時間はテレビの80%に達している。最近では2013年のカンヌライオンズフィルム部門で銀賞を受賞したevianのbaby&me (動画 6) など、デジタル技術と動画、テレビCM横断型の事例も増え、ネット広告も本格的に動画フォーマットが主流になる様相を呈している。

3)ネット広告=デジタルマーケティング=の潮流とCMOの方向性

3文字アクロニム(DMP、DSP、SSP…)で語られる新しい技術が次々と開発され、キャッチアップに苦労する進化の激しい分野であるが、広告の基本すなわち「どんなメッセージ(クリエイティブ)を誰に見せるか?」の基本に立ち返って整理すると分かりやすい。
その整理によると、デジタルマーケティングは「どこに広告を出すか?」(プレースメント)から「誰に広告を見せるか?」(行動ターゲティング)に進化しており。さらにはPOSデータなどの購買データとの掛け合わせで「◯◯を買った誰に広告を見せるか?」の段階に入っている。
こうなってくると、マーケティングはこれまで以上に商品戦略、流通戦略、EC戦略などの経営戦略とより密接に結びつく必要があり、CMOには経営ボードと連携するいわば「文系的CMO」と、ビッグデータを活用してDMPを構築してターゲティング精度を高めて行く「理系的CMO」の役割が求められていく。CDO(Chief Digital Officer)の必要性が言われるのも、この流れによる物である。

4)2024年の風景

10年後には、現在世界で20億人のネット人口が70億人、全人口の90%に増えるとされている。この時代には教育などの分野での大きなイノベーションが予想されるが、マーケティングの側面から注目すべきポイントは3点である。

  • 世界中がマーケットになる=Global Marketingが必要な時代
  • 企業、商品、マーケティングの全てがDigitalで評価される=Digital Reputationの時代
  • マーケティング、特に「誰に見せるか?」の部分は自動化される=Marketing Automationの時代

その時代のCMOのミッションとは?

  • 企業戦略へのコミットとクリエイティブへのリーダーシップ
  • ターゲット・オーディエンスデータベースの高精度化
  • Digital Reputationの最大化=”Reputation Optimization”
    • 企業ブランド、(特にネット上での)評判
    • 商品の評価、評判
    • 社員満足度(HRと連携)=これも企業ブランドの大きなパート